プラスチック加工の切削ってどんな工程?特徴や加工方法、金属加工との違いを解説

公開日:2026/09/15
切削加工

プラスチック加工には、素材を削って目的の形状に仕上げる「切削加工」という加工方法があります。金型を必要としないため、試作品や小ロット品にも対応しやすい点が特徴です。本記事では、プラスチック切削加工の工程やおもな加工方法、金属加工との違いについてくわしく解説します。

プラスチック切削加工とは?基本的な工程と特徴

プラスチックの切削加工とは、板材や丸棒などの樹脂素材を工作機械で削り、図面どおりの形状や寸法に仕上げる加工方法です。フライス盤や旋盤、マシニングセンタ、CNC加工機などを使用し、必要な部分を切削して製品を製作します。

切削加工では、まず製品の図面や仕様を確認し、用途に適した樹脂素材を選定します。プラスチックにはPOMやPVC、PP、アクリル、PEEK、MCナイロンなどさまざまな種類があり、それぞれ硬さや耐熱性、吸水性、寸法安定性などが異なります。そのため、製品に求められる性能を考慮して材料を決めることが重要です。

素材が決まったら、加工する形状に応じて工作機械や工具を選びます。加工前には素材を機械に固定し、NCプログラムなどを設定します。その後、工具を回転させたり素材を回転させたりしながら、外形や溝、穴などを段階的に加工します。

切削が終わった後は、寸法や形状、表面状態を確認します。必要に応じてバリ取りや仕上げ加工を行い、要求された精度や外観に整えて完成です。

プラスチック切削加工の大きな特徴は、金型を使わずに1個から製作しやすいことです。金型製作を必要とする成形加工と比べて初期費用を抑えやすいため、試作品や少量生産、多品種の部品などに適しています。また、複雑な形状や高い寸法精度が求められる部品にも利用されています。

プラスチック切削加工のおもな加工方法

プラスチックの切削では、製作する部品の形状によって加工方法を使い分けます。代表的なのが、旋盤加工、フライス加工、マシニングセンタ加工、ドリル加工などです。それぞれ得意とする形状が異なるため、製品の仕様に合わせて選択する必要があります。

旋盤加工

旋盤加工は、素材を回転させながら工具を当てて削る方法です。円柱状の素材を加工するのに適しており、外径や内径、溝、ねじなどを形成できます。ブッシュやスペーサー、スリーブなど、回転対称の部品を製作するときに用いられます。

フライス加工

フライス加工は素材を固定し、回転する工具で素材を削ります。平面や段差、溝などを加工しやすく、旋盤では対応しにくい形状の製作に適しています。

マシニングセンタ加工

マシニングセンタとは、NCプログラムによって工具の動きを自動制御し、複数の加工を連続して行える工作機械です。穴あけや溝加工、外形加工などを組み合わせられるため、複雑な形状や精密な部品の製作に利用されています。

基本的な設備は金属加工と共用できますが、プラスチックの特性に合わせて加工条件や固定方法などを調整することが重要です。

ドリル加工

ドリル加工は、ドリルを使って素材に穴を開ける加工です。単純な穴あけだけではなく、下穴の形成やボルト・ねじ用の穴の加工などにも使われます。

プラスチック加工と金属加工の違い

プラスチック切削加工は、金属加工と同じように旋盤やマシニングセンタなどの工作機械を使用できます。そのため、加工機械やNCプログラムの基本的な考え方には共通する部分があります。しかし、材料そのものの性質が異なるため、金属と同じ条件で加工できるわけではありません。

とくに注意したいのが「熱」です。プラスチックは金属と比べて熱伝導性が低く、切削によって発生した熱が加工部分に蓄積しやすい傾向があります。加工条件が適切でないと、素材が軟化して工具に付着する「溶着」が発生し、表面品質の低下や加工不良につながる可能性があります。

また、プラスチックは金属より剛性が低い素材が多いため、加工時の固定方法にも注意が必要です。チャックなどで強く固定しすぎると、素材が変形した状態で加工され、固定を解除した後に反りや寸法変化が生じることがあります。そのため、素材の特性に応じた保持方法を選択しなければなりません。

工具についても、プラスチックでは切れ味を重視することが重要です。工具が摩耗すると素材をきれいに切削できず、表面が白化したり、仕上がりが粗くなったりする場合があります。素材に適した工具を選び、摩耗状態を管理することが品質維持につながります。

さらに、樹脂によっては吸水や温度変化によって寸法が変化する場合があります。たとえばナイロン系樹脂では吸湿による寸法変化に配慮する必要があるため、加工時だけではなく材料の保管や加工後の状態まで考慮することが大切です。

このように、プラスチック切削加工は金属加工と共通する部分がある一方、「熱」「剛性」「工具」「寸法変化」などへの対応が異なります。単純に金属加工の条件を流用するのではなく、素材ごとの特性を理解して加工条件を設定することが重要です。

まとめ

プラスチックの切削加工は、樹脂素材を工具で削り、目的の形状や寸法に仕上げる加工方法です。金型を使わず少量から加工しやすいため、試作品や小ロット品にも適しています。一方、プラスチックは熱がこもりやすく、素材によっては変形や寸法変化も起こります。また、切削加工と一口にいっても加工方法は複数あります。素材や工具、加工条件、固定方法を適切に選ぶことが、切削加工の品質を高めるでしょう。

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