プラスチック加工の仕事は、専門的なイメージをもたれがちですが、実際は未経験でも挑戦しやすく、働きながら技術を身につけられる仕事でもあります。本記事では、プラスチック加工の基本、どんな人に向いているか、反対に合わないケース、そしてキャリアアップに役立つ資格について紹介します。
まずはプラスチック加工の基本を理解しよう
プラスチック加工は、合成樹脂を目的に合った形へ加工し、多様な製品を生み出すための技術です。以下で基本を解説します。
プラスチック加工の基本
プラスチック加工とは、私たちにとって非常に身近な素材であるプラスチック(合成樹脂)を、さまざまな製品へと形作るための技術全体を指します。この加工は、おもに溶かした樹脂を金型に流し込んで固める「成形加工」と、すでにある材料を工具で切削・切断する「切削加工」の2つの方法に大別されます。
成形加工は、ペットボトルや日用品、家電製品の筐体など、大量生産が必要な製品を作る際に非常に効率的です。一方で、切削加工は金型が不要なため、開発段階の試作品や少量生産の精密部品を作る場合に活用されます。
プラスチック加工が幅広い分野で使われる理由
プラスチックは、軽量で錆びにくく、電気を通さない(絶縁性)という優れた特性をもっているため、その用途は極めて広範囲に及びます。具体的には、自動車の部品やスマートフォン内部の精密電子部品、化学薬品を扱う容器など、日常生活から最先端の産業分野に至るまで、多様な機能と生産量が求められる製品の製造を支えている重要な技術です。
プラスチック加工の仕事に向いているタイプ
プラスチック加工は、作業内容や職場環境から、向いているタイプが比較的はっきりしている分野です。ここではとくに相性のよいタイプを紹介します。
未経験から製造の仕事に挑戦したい人
プラスチック加工は工程がシンプルで、未経験者でも比較的早く慣れることができます。機械が成形の大部分を担当するため、複雑な作業が少なく、初めての製造業として入る人も多い分野です。マニュアルや手順が明確なので、経験の差が大きく出にくい点も特徴です。
もくもくと作業に集中したい人
製品の検査や仕上げなど、ひとつひとつの作業を繰り返す工程が中心です。人と関わる業務が少なく、決められた手順をていねいに守れる人に向いています。接客もなく、職場によっては会話が最小限になるため、集中して作業を進めたい人にとって働きやすい環境です。
コツコツ技術を積みたい人
働き続けることで射出成形技能士などの国家資格に挑戦でき、資格を取得すると工程管理や設備調整などの専門的な業務にステップアップできます。収入アップを目指しやすく、長く働くほど技術が身につく仕事です。安定して働きながら技術を磨きたい人に適しています。
プラスチック加工が合わないと感じやすいタイプ
メリットが多い一方で、環境や作業内容から苦手意識をもちやすいポイントもあります。ここでは注意したい特徴を紹介します。
暑さやニオイに敏感な人
樹脂を溶かす過程では高温が発生するため、夏場は工場内が暑くなりやすい傾向があります。また、加熱時に特有のニオイを感じることがあり、敏感な人は体調に影響する場合があります。換気設備は整っていても、暑さやニオイが苦手な人には負担が大きくなる可能性が高いでしょう。
単調な作業が続くとストレスになる人
ほとんどの工程が繰り返し作業で構成されています。同じ動きを続けることに苦痛を感じる人や、変化のある仕事を好む人にとっては退屈に感じる場面が多くなるかもしれません。仕事の中で刺激や達成感を求めるタイプの人には物足りなさが生まれやすい仕事です。
不規則な勤務が難しい人
24時間稼働の工場では夜勤が含まれるシフトもあり、生活リズムが崩れやすくなる場合があります。夜勤に強い抵抗がある人にとっては継続が負担になるかもしれません。
キャリアアップに役立つ主要な資格
資格が必須ではないものの、取得すれば仕事の幅が広がり、責任ある工程に進むきっかけになります。ここでは代表的な資格を紹介します。
射出成形技能士
プラスチック成形の中でも代表的な射出成形に関する技能を証明する国家資格です。特級・1級・2級・3級の等級があり、上位になるほど工程管理やトラブル対応など高度な知識が求められます。
実務経験が受験資格に含まれるため、現場で働きながら段階的に技能を高められる点が特徴です。資格を取得すると設備調整を任されるなど、より専門的な仕事に進める可能性があります。
強化プラスチック成形技能士
ガラス繊維などで補強された強化プラスチックを扱う成形技術を証明する国家資格です。軽くて丈夫な素材として需要が増えている分野のため、資格をもつことで扱える製品の幅が広がります。将来性があり、専門性を高めたい人が取得を目指しやすい資格といえます。
まとめ
プラスチック加工は、未経験からでも始めやすく、コツコツ続けることで技術が身につく仕事です。機械の操作や製品のチェックなど、覚えれば安定して取り組める工程が多いため、集中して作業したい人や手順に沿って進めることが得意な人に向いています。一方で、工場内が暑くなりやすいことや特有のニオイ、単調作業といった環境面の特徴から、向き不向きがはっきりしやすい分野でもあります。なお、長く働きたい場合は、射出成形技能士や強化プラスチック成形技能士などの資格取得を目指すのもよいでしょう。自分の特性や働き方に合う環境を選ぶことで、無理なく続けられる仕事として選択肢に入れやすい職種です。